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こんにちは、かるたです🌸
私は講談や落語の高座を聴きに行くことが趣味なのですが、
本日は私の好きな講談のお話を.少しだけご紹介させてください。
「徂徠豆腐(そらいどうふ)」という噺です。
このお話は落語で演じられることもありますが、
江戸時代の儒学者・荻生徂徠と、
町の豆腐屋・上総屋七兵衛との縁を描いた
人情噺です。
元禄の頃、徂徠は学問所を開いても弟子が集まらず、
身の回りの物を売りながらぎりぎりの暮らしをしていました。
三日間何も口にしていないほど困窮したある日、表を通る豆腐売りから、冷奴を一丁買い求めます。
代金はわずか四文。
それすら払うことができず、支払いは後日に。それでも徂徠は、「書物は自分の魂だから」と、本だけは売りませんでした。
豆腐屋の七兵衛は、
そんな徂徠の暮らしぶりや人柄を見て、情けではなく敬意から手を差し伸べます。
施しになってしまうおにぎりは断られても、商売の残り物である「おから」ならと、毎日煮付けて届けるようになるのです。
ところがある日、七兵衛は病に倒れ、徂徠の家へ行けなくなります。
そして元禄十五年十二月十四日。
久しぶりに徂徠の家を訪ねますが、不在。
その夜、赤穂浪士の討ち入りが起こり、江戸の町は騒然とします。
混乱の最中、七兵衛の家はもらい火によって全焼。
一文無しになった夫婦は、着の身着のままで逃げ出すことになります。
そのときの夫婦のやり取りが、
私にはとても印象に残っています。
「……おまえさん、これからどうしようねえ」と泣く妻に、
七兵衛はこう声をかけます。
「とやかく言ったって始まらねえじゃねえか。
人の道ってえのは、まさかあんな……まさかこんな……
まさかという“坂”を登るようなもんだ。
お前とこうして、また手を取って坂を登ろうじゃねえか。」
嘆ききらず、希望を声高に語るわけでもなく、ただ「一緒に生きていく」と伝える。
この一言に、この噺のすべてが詰まっているように感じます。
年が明けて二月。
思いがけない縁がつながり、
七兵衛の前に、立派な姿で徂徠が現れます。
柳沢吉保に登用され、
八百石取りの身分となっていました。
徂徠は、
かつて受けた豆腐一丁の恩を忘れず、豆腐代と10両の礼金を渡し、
さらに新しい豆腐屋の店を建てて引き渡します。
「徂徠豆腐」は、
困ったときに人としてどう振る舞うか。
その積み重ねが、巡り巡って人を支える。
そんなことを教えてくれる噺だと思います。
派手ではありませんが、
何度も聴きたくなる、私のとても好きなお噺です。
長くなってしまいましたが、
ここまで読んでくださりありがとうございました。
本日も貴方様が、穏やかな時間を過ごせますように☺️
かるた